歯ぎしり・食いしばりは、総称して「ブラキシズム(Bruxism)」と呼ばれます。睡眠中や日中に歯を強く噛み合わせたり、上下の歯を擦り合わせたりする習癖(くせ)のことで、本人が気づいていないケースが非常に多いのが特徴です。
通常、食事中に歯に加わる力は数kgから数十kg程度ですが、歯ぎしり・食いしばりの際には体重に近い力(50〜100kg以上になることも)が歯や顎に加わると言われています。この過大な力が習慣的にかかることで、歯・顎の骨・筋肉・顎関節などに深刻なダメージを与えることがあります。
歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしり・食いしばりは、総称して「ブラキシズム(Bruxism)」と呼ばれます。睡眠中や日中に歯を強く噛み合わせたり、上下の歯を擦り合わせたりする習癖(くせ)のことで、本人が気づいていないケースが非常に多いのが特徴です。
通常、食事中に歯に加わる力は数kgから数十kg程度ですが、歯ぎしり・食いしばりの際には体重に近い力(50〜100kg以上になることも)が歯や顎に加わると言われています。この過大な力が習慣的にかかることで、歯・顎の骨・筋肉・顎関節などに深刻なダメージを与えることがあります。
グラインディング(歯ぎしり)
上下の歯を左右・前後に擦り合わせるタイプです。「ギリギリ」という音が出やすく、就寝中に起こることが多いため家族に指摘されて気づく方もいます。歯がすり減りやすく、知覚過敏の原因になりやすいです。
クレンチング(食いしばり)
上下の歯を強く噛み締めるタイプです。音がほとんど出ないため周囲に気づかれにくく、本人も自覚しにくい傾向があります。顎の筋肉に強い負担がかかり、頭痛・肩こり・顎関節症の原因になりやすいです。
タッピング(歯の打ち鳴らし)
上下の歯を小刻みにカチカチと噛み合わせるタイプです。3種類の中では比較的頻度が少ないとされています。
このような症状がある方は、歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)が原因となっている可能性があります。自覚がないままダメージが蓄積していることも多いため、気になる症状がある方はお早めにご相談ください。
ブラキシズムの原因は完全には解明されていませんが、以下のような要因が関連していると考えられています。
ストレス・心理的要因
ブラキシズムとストレスの関連は多くの研究で指摘されています。緊張・不安・精神的な疲労が蓄積すると、睡眠中に無意識のうちに歯ぎしり・食いしばりとして現れやすくなります。日中も集中作業中や緊張場面で無意識に歯を食いしばっている方が多く見られます。
噛み合わせ(咬合)の問題
歯並びや噛み合わせが安定していないと、顎が無意識に安定した噛み位置を探してブラキシズムが起こりやすくなるとも考えられています。詰め物・被せ物の高さが合っていない場合も原因になることがあります。
生活習慣・その他の要因
カフェインの過剰摂取・喫煙・飲酒・睡眠の質の低下・特定の薬の服用(抗うつ薬など)もブラキシズムのリスクを高めるとされています。また、遺伝的な要因も関与している可能性が指摘されています。
「歯ぎしり・食いしばりは眠っている間のことだから仕方ない」と思っている方も多いですが、放置すると口腔内だけでなく全身にさまざまなトラブルを引き起こすことがあります。
歯のすり減り・欠け・破折
強い力が繰り返しかかることで、歯が徐々に短くすり減ったり、エナメル質が欠けたり、最終的に歯が割れてしまう(歯根破折)ことがあります。歯根破折は抜歯につながるリスクがある深刻なダメージです。
知覚過敏
歯の表面のエナメル質が摩耗すると、内側の象牙質が露出し、冷たいものや風がしみる知覚過敏が起こりやすくなります。
詰め物・被せ物の破損・脱離
過大な力により、セラミックや樹脂の詰め物・被せ物が割れる・外れるトラブルが繰り返し起こることがあります。
顎関節症
顎の関節(顎関節)や周囲の筋肉に過剰な負荷がかかり、口を開けるときの「カクカク」「ゴリゴリ」という音・開口時の痛み・口が開きにくいなどの顎関節症症状が現れることがあります。
頭痛・肩こり・首のこり
顎を動かす筋肉(咬筋・側頭筋など)が慢性的に緊張することで、頭痛・肩こり・首のこり・目の疲れなど全身の不調につながることがあります。
歯周病の悪化
過大な力が歯を支える骨(歯槽骨)に加わり続けることで、歯周病の進行を促進させる可能性があります。
まず、精密機器を用いた口腔内検査・レントゲン・噛み合わせの検査などを行い、ブラキシズムによるダメージの程度・噛み合わせの状態・顎関節の状態を詳細に評価します。歯のすり減り方・欠けの状況・歯周組織への影響などを総合的に確認したうえで、患者様に最適な治療計画をご提案します。
ブラキシズムの主な治療法は、マウスピース(ナイトガード・スプリント)の装着です。就寝中または日中にマウスピースを装着することで、歯・顎・顎関節への過大な力を緩和・分散させ、ダメージを防ぎます。
当院では患者様のお口の型取りをしてオーダーメイドのマウスピースを作製します。市販品とは異なり、個々の噛み合わせにぴったりフィットするため、装着感がよく、効果的に機能します。
なお、マウスピースはブラキシズムそのものを根本的に治すものではなく、ダメージを防ぐための保護装置です。症状の原因に応じて、噛み合わせの調整・歯列矯正・ストレスケアなど他のアプローチと組み合わせることもあります。
噛み合わせのバランスが崩れていることがブラキシズムに関与している場合は、詰め物・被せ物の高さを調整したり、過大な力がかかっている部分を適切に整えたりすることで症状が改善する可能性があります。
ブラキシズムによってすり減り・欠け・破折が生じた歯は、コンポジットレジン(白い樹脂)やセラミックを用いた修復治療で機能と見た目を回復します。重度の破折の場合は根管治療や抜歯が必要になることもあります。まずは現状の歯のダメージを精密検査で確認してからご提案します。
ストレスの軽減・カフェインや飲酒の抑制・睡眠の質の改善・日中の食いしばりへの気づきと修正など、ブラキシズムに影響する生活習慣についてもアドバイスします。日中に「気づいたら歯を食いしばっていた」という方には、歯を軽く触れ合わせる程度の位置(安静空隙位)を意識する習慣づけもお伝えします。
精密検査・診断
口腔内検査・レントゲン・噛み合わせ・顎関節の状態を確認します。
治療計画のご説明
検査結果をもとに、マウスピース療法・噛み合わせ調整・修復治療など、最適なプランをご提案します。
型取り・マウスピース作製
お口の型取りを行い、オーダーメイドのマウスピースを作製します。通常1〜2週間程度で完成します。
装着・調整
マウスピースをお渡しし、装着方法・注意事項をご説明します。噛み合わせの微調整も行います。
定期的な経過確認
マウスピースの状態・症状の変化・噛み合わせを定期的に確認します。マウスピースは消耗品であり、摩耗が進んだら作り替えが必要です。
睡眠中の歯ぎしり(グラインディング)は、本人が気づかないことがほとんどです。同居している家族や友人に指摘されて初めて気づく方も多くいます。一方、日中の食いしばり(クレンチング)は比較的自覚できる場合もありますが、習慣化していると気づきにくくなります。「朝起きると顎が疲れている」「歯がすり減っている」などのサインで間接的に気づくことができます。気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
マウスピース(ナイトガード)は歯ぎしり・食いしばりによるダメージを防ぐための保護装置です。歯ぎしりそのものをなくすものではありませんが、歯のすり減り・破折・顎関節への負担を大幅に軽減することが期待できます。ストレスの軽減・睡眠環境の改善・生活習慣の見直しなどを併せて行うことで、症状が落ち着いてくる方もいらっしゃいます。
顎関節症や歯ぎしりの治療目的で作製するマウスピース(スプリント・ナイトガード)は、保険診療の範囲内で対応できる場合があります。ただし、スポーツ用や美容目的のものは保険適用外となります。詳しくはお口の状態を確認したうえでご説明しますので、まずはご来院ください。
お子様の歯ぎしりは、乳歯から永久歯への生え変わり時期に顎の成長に伴って起こることが多く、成長とともに自然に落ち着くケースが多いとされています。ただし、歯のすり減りが著しい・顎関節に症状がある・永久歯が生えそろった後も続いている場合などは、一度歯科でご相談いただくことをお勧めします。
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